競技タイピングという世界があり、それが存外面白いんだぜ、熱いんだぜ!という紹介記事を書きました。
その中で、競技タイピングの対戦によく使われる、かつ個人でも無料でダウンロードでき練習に最適!というソフトが存在します。
それが「Weather Typing」です。
今回はこのソフトについて詳しく紹介します。単純にタイピングの練習がしたい人、大会に向けて対策をしてみたい人、仲間内でタイピング大会をしてみたい人、いろんな人の参考になるはず。
Weather Typingとは
こちらのサイトで提供されている、無料のソフトです。
https://denasu.com/software/weathertyping.html
特徴として、
- タイピング対戦ツールとして、おそらく最も日本で使われている
- タイピング日本一決定戦として知られている「Realforce Typing Championship(以下、RTC)」に採用
- また、にじさんじも「にじさんじ打鍵王」で使用
- 単純に早く打鍵すれば良いわけでは無く、「正確性95%」というラインが鍵を握る戦略性を持つ
- ワード自動生成システムを採用しているため、文章全て覚えてしまう、という対策は難しい
- 副次効果として、ヘンテコ文章が生まれて面白い
というあたりがあります。タイピングという行為を競技化するに辺り、正確性という要素を勝利条件に加えたことが個人的に大発明だと思っています。RTCの観戦が面白いのも、この要素が大きく関わっています。ルールについては後述します。
RTCの動画(2024年大会)、にじさんじ打鍵王(2022年開催、第二回大会)の動画リンクを貼っておきます。
これを見れば、だいたいどんなツールか分かるはずです。
「正確性」を用いたルールについて
ここでは、最も多いな大会であるRTCのルールを紹介しようと思う。
同じワードを同時に打ち始め、10 ワード目を先に打ち切ったプレイヤーがそのラウンドを獲得し、規定のラウンド数を先に取得したプレイヤーが勝者となります。
ただし、10 ワード目を先に打ち切ったプレイヤーの正確性が 95% 未満で、もう一方のプレイヤーが 95% 以上の場合、95% 以上のプレイヤーがラウンドを獲得します。
両者ともに 95% を下回った場合、10 ワード目を先に打ち切ったプレイヤーがラウンドを獲得します。
両者の正確性が 95% 以上で、同時に 10 ワード目を打ち切った場合は、トータルポイントの数値が大きいプレイヤーがラウンドを獲得します。
打ち始めた後に入力を途中で止める行為は、マシントラブルまたは先に 10 ワード目を打つプレイヤーが正確性 95% 以下の場合のみ了承し、それ以外は認められません。RTC2024公式サイトより引用
えーと、文章を読んでるだけでは分かりにくいですよね。
まずもってこの大会は10ワード先取で終了です。つまり10回相手より速くタイピングすることが目的になります。
その上で、正確性(正しくタイピングした率%)95%を超えているか?という基準を設けると、どちらかが10ワード先取したとき4パターンの終わり方があります。
- 両者共に正確性95%以上の場合→先取したほうの勝ち!
- 両者共に正確性95%未満の場合→先取した方の勝ち
- 10ワード先取した方が95%以上、相手が95%未満の場合→先取した方の勝ち!
- 10ワード先取した方が95%未満、相手が95%以上の場合→相手の勝ち!
という分岐をします。
つまり、片方が95%以上、片方が95%未満だと未満の方はワードを取り切っても負けてしまう、逆に自分が95%を超えていれば気にせず取ってしまえば良い!というルールです。
この条件が加わることで、一気に戦略性が加わるのが面白いところ。
かな入力の難しさ
タイピングには、一般的にほとんどの人が使っているローマ字入力の他に、かな入力があります。
理論値の話をすれば、だいたい2打鍵で1文字日本語を打つローマ字に対し、1打鍵で1字入力できるかな入力のほうが圧倒的に優位です。
ですが、打鍵数が少ないということは序盤にミスが嵩むと正確性を取り返すことが非常に難しくなってしまいます。かつ、この正確性というのは1打鍵打ち漏らしたら1ミス、ではなくそのまま流れで打ち込んだ打鍵も全部ミスに加算されてしまうというのがあります。タイピングが速い猛者が集う大会ならではですね。
なのでかな入力で戦う選手はある程度正確性を重視して打鍵しないといけない、ただそうするとワードを取れない・・・というジレンマにぶつかりがち。この入力方式の差というもの熱いポイントです。
相手の正確性を見ながら戦わないといけない
自分がワードを多く取れているが、正確性が落ちてしまい相手は95%以上を保っている・・・
みたいな場面になると、ワードを捨ててでも正確性を上げる必要があったりします。
例えば現在9ワードでマッチポイント、ただし正確性は93%!となると、相手より早く打ち切れそうでも最後の一文字を残すことがルール上許されています。相手にポイントを渡し、残りの問題で正確性をあげてワードを取る必要があるためです。
逆に相手が正確性を落としてる、ということがわかれば自分は普段より正確な打鍵に寄せることで相手を抑制する、なんて戦略も取れる。
一番熱いのは、マッチポイント・正確性94%の状態から
「このワードをノーミスで打ち切ったら正確性95%に到達する!」
と信じてノンストップで打ち切るような場面。勝負をかけるこんなシーンは、正確性を競技のルールとして取り入れたからこその奥深さと熱さです。
実際にプレイしてみた
ということで、タイパーとしては超初心者の筆者。この記事を執筆するに当たってWeather Typingをインストールしてみた。
起動すると、このようにアプリが表示される。今回はシングルモードで練習してみた。
タイピングを始めると、先程Youtubeで見たものの一人用が表示される。
1ワード打ち終わると、こんな感じでデータが表示される。
kpmというのが、一分間辺りの打鍵数だ。これを60で割れば秒間打鍵数が算出できる。
30ワードでフィニッシュ。今回の結果は正確性88.0%、kpm370.5だった。
370.5÷60=6.175なので、やはり筆者のタイピング能力は秒間6打鍵程度。
使ってみての感想
このWeather Typing、とにかく入力時の音が気持ちいい。
銃弾にも似たような音がガンガン響く中でタイピングするのは、キーボードの打鍵音とは違う魅力かもしれない。
実際、先に紹介したe-typingよりも快感が強く、飽きること無く続けられる感覚を得た。
一応このアプリのウリでもある対戦モードにも入ってみたのだが、時期が悪いのか人がほとんどおらずマッチングは難しそうだった。
やはり基本的には一人で黙々と練習することになりそうである。
しかし、少し表示は見にくいが全国ランキング機能もあるため、そちらと合わせてモチベーションを保つのが良いだろう。
あとはやっぱり大会を開くこと。配信者の人ならリスナー大会も出来るし、あるいは会社のイベントとしてタイピング大会を開くことも出来る。タイピングスピードは結構仕事のスキルとして最低限欲しいところだと思うので、そういったモチベーションを刺激する上でも面白いのではないかと。
もちろん練習にも最適
もちろん、一人でタイピングの練習をするにも最適だ。
序盤にも紹介したが、「ワード自動生成システム」というものをこのソフトでは採用している。
短い文章が大量に用意されており、前半と後半をランダムに組み合わせることで多くのパターンを用意するというシステムだ。これにより、文章を全て覚えてしまうということが起こらず臨機応変なタイピングになる。覚えゲーじゃない、というのは技術練習の上で非常に大切だ。
実際にプレイしてみると、こんな文章に出会うことが出来る。
うーん、良い味ですね。というかクスッと笑っちゃう文章に自然となるため、割と飽きずに練習が出来る。
これがe-Typingとかだと、覚えゲー気味になる部分もあるので個人的に好きな部分だ。
CPU対戦が結構楽しい
CPUと対戦できる機能もあるが、これも使い勝手が良い。
タイピングを必死にしながら、相手の正確性をチェックするというのが以下に大変か思い知るし、相手が自分より早く入力している様子が見えてしまうので焦りとの戦いも練習できる。
練習に大会に、活用してみよう
競技タイピングに触れてみたい、という人はまずこのソフトを是非触ってみてほしい。
実際に大会で使われるソフトを触れるだけでも楽しいし、CPU戦でも充分に対人戦の面白さの片鱗を味わうことが出来る。仲の良い知り合いを誘って実際に戦ってみても良いだろう。
また一人で黙々と練習する際もオススメ。音がいいし、自分の打鍵でテンションが上がるし、ワード数も非常に豊富。是非遊んでみてください。