【レビュー】地球防衛軍6はEDFの物語ではない、バディものだ

前作で全然読んでもらえないのにもかかわらず、長文でレビューを書きました地球防衛軍。
その地球防衛軍5のレビューがこちら。

地球防衛軍5は絶望を感じてからが本番のゲームだ[ゲームレビュー]

そして地球防衛軍6が満を持して発売されたのが2022年8月25日。
だが私は、そこからひたすら待った、Steam版の発売を。なんてったってPCでFPSやるようになったのだ、どう考えてもキーマウで操作する方が快適かつ楽しいでしょ!そんな想いでほぼ2年待ちました、延期もありましたねえ・・・

そしてついに2024年7月、Steam版が発売。

ついに来た!!!!!!と購入、そこからは色んなものを犠牲にしてとにかくプレイプレイ。ひとまずメインストーリーを一周したい!!!!とこのブログの運営とか全部放っておいてひたすらやってました。

なぜかって、そりゃ発売から2年もひたすら情報遮断してネタバレ0で待ってましたからね、長かったですよホント。

ということで、購入から2週間前後で50時間ほどがっつりプレイし、ストーリーを1周したこの段階でとにかく感想を書きたい!その一心で今キーボードを叩いています。待ちに待ったプレイの感想、是非読んでください。

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ゲーム概要

タイトル 地球防衛軍6
ジャンル 3DアクションSTG(TPS)
プラットフォーム PlayStation5、PlayStation4、PC


言わずとしれた名作シリーズ「地球防衛軍(略称はEDF、Earth Defence Force)」の正当ナンバリング最新作。
元はSIMPLE2000シリーズから始まった地球防衛軍もついに6へ。外伝に「デジボク(ピクセル調のポップなゲーム性)」「IRON RAIN(別会社が開発したた別世界線のストーリー)」などがある。

昆虫をモチーフとした大軍を中心に、地球に侵攻してくる謎の勢力と戦い、題名通り地球を防衛するゲーム。

処理落ちが日常茶飯事なほどの大軍相手に強力な武器で蹴散らす爽快感、映画の王道を思わせるベタながら熱いストーリー、それを彩る無線通信や味方とのコミュニケーション。

難易度を上げれば一気に鬼畜ゲーへと変化するやりこみ要素が評価されている。

ここら辺が個人的に思っている地球防衛軍評です。どれぐらい鬼畜かと言えば、最高難易度の名前がINFELNO(イタリア語で「地獄」を意味)だったり、難易度の解説でも「無理にプレイする必要はありません」と書かれるぐらい。

今作の6では、ストーリーを一周しないとHARDESTとINFELNOが選択できない仕様でした、それぐらい難しいということです。

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筆者のプレイ遍歴

ここでざっくりと筆者の地球防衛軍プレイ歴を紹介しておきたいと思います。プレイ歴と感想がリンクする、というのが今作においては大事なファクターになると思うので。

昔友達が持っていた地球防衛軍2をプレイ、通しでクリアするほどではないものの面白い!!!と家に遊びに行くたびにプレイするぐらい好きでした。当時はお互い一人暮らしの専門学生だったので、翌日休みの時には酒を飲みながらひたすらプレイしていた思い出。

その後3はXBOXを持っていなかったのでプレイできず、しばらく年数を置いた後地球防衛軍4.1(地球防衛軍4の正式リメイク)をPS4で購入。改めてどハマりし、地球防衛軍5までプレイ、という遍歴です。シリーズの半分近くはプレイしている、と思ってもらえれば。

HARDESTで全ミッションクリアを目指してゴリゴリやりこむぐらいには好きです。世の中にはもっととんでもない縛りプレイで修羅道を突き進む人も沢山いるので、超やりこんでます!とは口が裂けても言えないですが結構愛は強い方なんじゃないかな・・・

ちなみに今回はひとまず1周、HARD縛り、稼ぎ禁止でクリアまで行きました。結構大変だった、今までのHARDよりも難易度上がったかな?という感じ。
他にやりたいゲームがたくさんあるので未定ですが、時間の有るときにコツコツ進めて全ミッションHARDESTぐらいまではやってみようかなと思っています。INFELNOやるとしたら、それはもうYoutubeチャンネル立ち上げるぐらい気合いを入れたときです。

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【未プレイ向け】ストーリーの濃厚さに浸ってほしい

とさてここからレビューに入っていきますよ。

まず今作の注目点は「前作と同じ世界であることが明言されている」点だと思います。だからこそ私は必死にネタバレを回避したんですが。
初代と2、3と4(+4.1)は続編になっていることがストーリー上で明らかになっています。つまり2作毎に世界観が一新するというのがここまでの流れ、なので5から6も繋がっているということ自体はある種お約束でもあるんですよね。

ではなぜ6で注目されたかというと、5の終わりが悲惨な勝利だったことです。5では被害が明確に言及されていて、

「勝利したものの人口は1割に減少」

という被害の大きさが全てを物語っています。その上で6の公式ページでは「絶望の未来に生きろ。」というキャッチコピーで売り出されています。

今までのシリーズ間の繋がりは、あくまでも昔に一度勝ったのに相手が復活してきた!というぐらいの緩い繋がりでしたが今作は明確に未来を描写している、それも人類が全く復興できていない荒廃した未来です。
かつて地球を救ったストームチームも主人公を除き戦死、「勝利から3年、瀕死の地球。」と公式サイトに載せられているほど前作との繋がりを強調したリリースは当然注目されたという感じ。
私もこの情報を見て非常にワクワクしました、え、あのボロボロの地球のまんま始まるの!?というね、そりゃ燃えますよ。

そして実際にプレイしてみて、そのワクワクは半分当たりで半分外れていたことが分かりました。
私の予想の遙か上を行くストーリー、今までの地球防衛軍と比べものにならないほど引き込まれる展開、そして絶望という言葉を痛いほど思い知らされる。

そんな怒濤の展開の先に向かえるエンディングは、間違いなく過去最高のカタルシスが待っているはずです。

なぜこんな抽象的なことしか言えないのか、それは何を言ってもネタバレになりそうなぐらいストーリーが凄まじいクオリティだったからです。
正直に言えば、地球防衛軍のストーリーというのはあくまでサブにあり、メインは戦闘の過酷さと爽快感にあると思っています。会話からどんな戦闘がどこで行われていて、いまどんな戦局になっているのか、というのを察するというぐらいでした。

今作はそんな事言ってられません、ストーリーが重厚かつ細かい仕掛けもたくさん、その上で会話もボリュームアップしてます。今作の小さい進化として、セリフが全て字幕で見れるという変化があります。これ、ストーリーを味わう上で超絶助かりました。逆に言えば、セリフが重要になるほどストーリー面で大きな進化を遂げているわけです。

これはセリフやストーリーの流れだけでなく、ムービー面での演出も進化しています、「そんなもの見れていいんですか!?」と言いたくなることも数知れず。

だからこそ、これからプレイする人には

  • ネタバレは一つも踏まずにプレイしてほしい
  • 時間に余裕があるなら地球防衛軍5をプレイしてからをオススメする

という二点だけ伝えておきたい。もちろんこの作品からプレイしても全く問題なく最高傑作として楽しめることは間違いありません。ですが過去作をプレイしている人にしか得られない感動もまた間違いなく存在します。

もちろん戦闘面においてもミッション数は過去最大、武器も「バッグパック」という新たなカテゴリが追加され戦術の幅が一気に広がりました。戦闘という最大の魅力を正統進化させつつ、ストーリーが進化どころではない変貌を遂げている、断言できます、最高の作品です。

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【注意】ここからネタバレ全開です

さて、ここまでなんとかネタバレに必死の配慮をしながら未プレイの方向けにレビューを書きました。ですが限界です、ということでここからはネタバレ全開のレビューとなります。未プレイの方は今すぐ引き返してね。

これは地獄を彷徨うバディ物語だ

はっきりした感想を言ってしまえば、これは「EDFの物語」ではなく「ストーム1とプロフェッサーの物語」だと感じました。だからこその苦悩とカタルシスなのだと思います、それは後に詳しく書きますが、プロフェッサーの最後の叫びにも繋がるものです。

厳密に言えば、タイムループのタイミング的にストーム1とプレイヤーの持っている記憶は異なります。ストーム1とプロフェッサーの保有できる記憶はあくまでもフォーリナーの改編後、つまりEDF敗走ルート(エイリアンツリーの建つ赤い空のルート)だけ。なので優勢に進み都市が発展した記憶を彼らは一切持っていないし、なんなら銀の人(5のボス)を倒したことも全く覚えていないんですよね、だからこそ辛い。



ここら辺の、どこでタイムリープしてどの記憶を引き継げるか、というのは結構分かりにくい。いろんなサイトが解説しているので以下にリンクを貼っておく。ここを抑えながら2周目以降をプレイすると味わいが一層深くなるはず。私もその予定です。

制作者へのインタビューで明かされたように、5の中にもタイムリープを前提とした演出や台詞回しが多数含まれています、それは単純に凄いことなんですが、多くの人が触れているので簡単にすげーというぐらいにとどめておいて、個人的にはどうしても涼宮ハルヒの『エンドレスエイト』を思い出さずには居られませんでした。

エンドレスエイトとは、『涼宮ハルヒの憂鬱』に登場するエピソードの一つです。
無意識に願望を叶えてしまう、というハルヒの能力によって夏休みが15000回以上もループしてしまうという話。
唯一人間ではない宇宙人によって作られた長門だけが記憶を保持し、地獄のような600年以上を経験しました。
アニメ版では視聴者へ同じ気持ちになれ!と言わんばかりにほぼ同じ内容(ループ脱出失敗)が7回も放映され、8回目にしてやっとループを脱出するという挑戦的な内容になったことで話題に。

エンドレスエイトで長門が発狂しなかったのは、端的に言ってしまえば感情がほぼ(あえて正確を期すためほぼと言います)無いからです。かつ彼女には観測という使命もあるため、ひたすらループを見続けました。

でもストーム1もプロフェッサーも人間です。ストーム1も作中のセリフからアドバイスをしたりカードゲームで戯れるような人間的振る舞いをすることが語られていますし、プロフェッサーは皆さんが経験したとおり。
この二人が発狂せず、敗北の歴史だけを重ねるプレイヤーよりも辛いループの中で藻掻き続けられたのは、お互いの存在が頼りだったからだと思わずにいられない。

特にプロフェッサーは、何度も妻を失うという筆舌に尽くしがたい経験をしています。その辛さこそが原動力とも言えますが、たった一人のループでは心が耐えられたかどうか。

プロフェッサーが担った「本部側の存在意義」

そしてプロフェッサーには、もう一つ大事な役割が有ったと思っています。それが、「本部側の存在意義をプレイヤーに魅せる」というものだったのではないかと。

そもそも過去シリーズ経験者なら頷いてくれるはずですが、かつてEDF本部側の人間は全く頼りになりませんでした。本部の罠、という言葉が浸透するほどに頼りにならないどころか、むしろプレイヤーを貶めるような判断しか指定無いじゃないか!という怒りが湧くレベルな訳です。

プロフェッサーは、そんな本部に対して活動を進め、同時に武器やマシンの強化に努めていきます。現場職のストーム1と裏方側のプロフェッサー、二人は役割を分担し歴史を変えようとそれぞれの場所で戦い続ける。

プロフェッサーの尽力によって、バルガが超強化されたり味方の配置が改善されたり、ミッションの内容に目をこらすと本部側が動いている痕跡がそこかしこに見付けられます。頼れる強力なマシンが配備されミッションの助けになったとき、プレイヤーは今までと違う信頼感を本部に持つ、そんな気持ちになったのは私だけじゃないはず。

過去を変えられる、という追体験

今作ではいろんなグッとくる演出が多々ありました。それは語り出すとキリが無いので、後でまとめてガガッと紹介しようと思うのでいったん置いといて。

私が最もうおおお!ってなったのは、ミッション116 本日の予定 でした。

このミッションは地球防衛軍5で最初にプレイするミッション、かつアホみたいな数のテレポーションアンカーが降ってくるということでめちゃめちゃ心に焼き付いたものです。あのミッションのとき、1本でもアンカー折ってやるぜ、って遊んだ人は多いはず。


そのアンカーを全部破壊できる、しかも先輩を助けられる、という点でこのミッションは分かりやすく過去を変えるんだ、という気持ちになれました。
余談ですが、なぜあの数のアンカーが降ってきたか、というのもDLCをプレイすると納得できるようになっている、というのも良くストーリーが練られているし5で起きた事象を完璧に利用しきっているな・・・と感動したものです。

プロフェッサーが本編で語ったように、プライマーは核への警戒が異様に強いです。
そしてこのDLCによって、ベース228に戦術核兵器(N6、地球防衛軍6本編で月面に攻撃したものと同型と思われる)が保有されていることが明らかになります。

後に脅威になるバルガ、核、そしてストーム1の出発点。プライマーにとっては脅威が詰まった基地だからこそ、意味不明なレベルでアンカーを降らせたというお話。

過去のミッションを再びやる、その中で通信が変わったり敵味方の軍備が変わったり、というミッションは数多くあります。その中で犠牲者の数が増えていたり、核での攻撃がサンプル採れないからやらない→核の攻撃機能を失ったに変わったりと歴史が変わっていることは実感するのですが、明確に歴史を自分の手で変えたと感じられるのは間違いなくこのミッションでした。

敵キャラのデザインと戦闘の進化が良すぎませんかね

今回隠れた目玉だなと思っていたのが、敵のデザイン。

今までのような生物だけではなく、ロボ系がついに多数登場、それもメカメカしいというよりもどこか邪悪さと珍妙さが詰まった気味の悪いシンプルデザイン。

情報遮断しながら公式リリースだけ拾っていた頃、アンドロイドのデザインを見て胸騒ぎしたことを思い出しました。プレイしてみれば新しく追加された敵はどれもデザインが一目見て「うぇっ」と嫌悪感を若干刺激する不思議なデザイン、どこかクトゥルフ味を感じるようなセンスがまた邪悪で良いですね!

新しい飛行船ももちろん素晴らしい、前回の飛行船と違い流線型なのが妙に生物感を漂わせています。


今回私はキーマウでプレイしたので、エイムが重要になるという戦闘スタイルの変化はむしろ楽しく感じましたが、コントローラーだったらどう感じていたか分かりません、ただ戦略はかなり必要になったなと思ってます。

シールド持ちの邪神ちゃんとか、どの位置でシールドをオーバーヒートさせて本体に攻撃するか、とか。

あとアンドロイド系、擲弾兵系の難しさと破壊したときの気持ちよさは特筆すべきものがありますね。
生物系の小さいポンッという爆発と違い、アンドロイド系を撃破したときの爆発は心地よさがあります。ロケランとかでまとめて撃破するのが地球防衛軍の気持ちよさでしたが、アンドロイドに関してはアサルトで次々撃破するほうが気持ちよかったなあ。

あと戦闘面の進化で言うと、バッグパック装備によってリロードの間を防げるだけではなく、いつなにを使うかが更に深まったなと思っています。リバシュで回復するもアリ、デコイもアリ、自動砲台も手榴弾もあり、戦略と装備の幅が一気に広まった素晴らしい新機能だったのではないかと。

個人的グッときた演出

以下、他にもグッときた演出が多数あったので箇条書きでゴリゴリと。

  • 初めて遭遇する赤い空、エイリアンツリー
  • 何が起こったかぶっちゃけ分からなかった、歴史改変だったと気付いたのはかなり後でした
  • この混乱、記憶を消してもう一回味わいたい
  • 博士からのテキストメッセージ、からのハテナミッション
  • EDF優勢ルートの地表に出た瞬間
    • 建物高い!ビカビカしてる!とキャッキャしちゃう
    • そもそも自分の服装が明らかに技術進んでそうなので、扉が開く直前はワクワクしたよね
  • 潜水母艦の登場
    • 過去作で名前しか出てこなかった母艦がついに登場、しかも動く瞬間はわざわざミッションもう一回やって観に行くほどでした
    • そんな位置にいたら座礁するやろ!というほど近くで見せてくれるサービスショット
  • 地味に増えていく「総人口の○割が犠牲に」、減っていく地下居住区の人口
    • このために字幕付けたんやな!?ってぐらい刺さった
  • ストームチーム再結成
    • これは私だけかもしれないけど、死神が守護神って呼ばれるようになったの、どう考えても泣いちゃう
  • プロフェッサーの最後の演説
    • 先程後述すると書いたシーン。
    • 地獄のようなループを味わい続けたプロフェッサー、その辛さを分かってあげられるのは誰よりもストーム1に違いない
    • 彼の執念が人類を救ったし、正義だ平和だと綺麗事を言わずに自分の感情を叩き付けたところにこの人の本性を垣間見た気がする
    • その気持ちに現地で最も深く頷き、胸が裂けるような気持ちで聞いていた俺はあのとき、間違いなくストーム1になっていた
    • と同時に、オペレーションオメガ(6版)をバレずに進められるほど影響力を持つ立場になった彼の仕込みと努力も凄まじいものがある
    • 世界線によってオペレーションオメガの中身が変わる、最終手段という意味なのも感慨深い
      • 5では民間人全員戦闘員扱いだったんだよね

その他感想

他にもいろいろ思うことがあるし、妄想や考察や感想が膨らみ続ける。全部を説明しすぎないのが個人的に良いあんばいです、余白が有る方が面白いじゃないか。

例えば、最初にリングの制御装置壊そうぜ!って思い付いた人。このやけくそ攻撃がなかったら人類はサラッと終わっていた、あとこれを目撃していたプロフェッサーとストーム1も偉すぎる。
あと記憶しか持ち帰れない中で、相手の攻撃や新装備の開発などを脳みそ一個でやり遂げたプロフェッサーの天才ぶり、地味だけど化け物です。

他にも、結局放置されていたカエル君たちはなんだったのか、事故なのかわざとなのか明らかになっていないし、ラスボスドラゴンが何年先から来たのかもよくわからないし、エイリアンツリーとは最後まで戦うことなく終わってしまった。一回ぐらいあれを破壊してみたかったなあ・・・

他にも色々あるんですが、思い出したら書き足していこうと思います。プレイしながら膨大な量のスクショを撮ったのでそのうち振り返る時間を作りたいぐらい、満足度の高いゲームでした。

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買って良かった、待ち続けて良かった

Steam版の延期を待ち続けて、ネタバレを回避し続けて本当に良かった。そんな圧倒的ボリュームと進化の一言では済ませられない広がりを見せた、そんな作品でした。

まだプレイしていない人は、出来れば5からやってみよう!