ようやく観れました。公開から20日。
映画 THE FIRST SLAM DUNK
いやーーーーーー最高でした。それしか言えない。
個人的にはブッ刺さりましたね。
ただ賛否両論になる理由も見て分かったし、この映画は話したいことが超沢山あるなあって。
なので熱が冷めないうちに叩き付けるような感想文をひとまず書きたいなあと思います!!
ざっと全体の感想
開始数分で泣きかける
もうねー-、始まって数分で死ぬかと思いました。
まずもって、The Birthdayの主題歌とともにラフ画で描かれて動き出すキャラクターたち。
このシーン、めっちゃしびれました。
パンフレットを見たら「不穏なイントロから盛り上がる曲が欲しくて、」と書いてあったのですがもうドンピシャでしたね。
監督も言及されてましたが、The Birthdayのアウトロー感が絶妙にスラダンのメンツと合うんだよなあ・・・
「THE FIRST」の意味を知る
これももう語り尽くされたぐらいのモノだと思いますが、THE FIRSTの意味ですよね。
バスケで1番と言えば、そうですポイントガードです。つまり宮城リョータなんですよ。
だからといって5本劇場版やるとは思ってません。さすがにね。
それだけ年月をおいて井上先生は、リョータに対する思い入れというか、描きたいことが出来たんだなあって。
そりゃやるなら山王戦よね!
事前情報がほぼ無かった中で、ずっと考えていたのは
「どのエピソードを、どの試合をやるのか?それともオリジナルか?」
ということですよね。
で、まあやるなら山王戦だろうなあと思ってました。ええ後出しと言われても構いません。
だってこの試合やるしかないでしょ!という。案の定最高だったわけですが。
それを観客が知るのはオープニング映像で山王のメンバーが描かれる瞬間・・・というのがいい。もうオープニングだけでもまた観に行きたい。
「スラムダンクの劇場版」は正確な表現ではない
まずもって言いたいのがこれ。あくまでも感覚の問題ね!
より正確な表現をするならば、俺はこんな言い回しになると思います。
「バスケの試合を劇場版アニメにしたスラムダンク」
だと思います。
それぐらいバスケの試合としてのテンポ、キャラの動き、雰囲気が完成されていました。
完全に試合の映像になっている
そもそも原作の漫画やかつてのアニメ化は、めっちゃ喋るしターン制っぽいテンポなんですよね。
だから作品としては超面白いけど、バスケとしての情景が浮かぶかというと、というところ。
一番バスケっぽかったのが山王戦ラストのセリフ無しのところですよね。
で、今回の劇場版!
これがねー、完全にバスケの試合でした。
コート上に立つ10人、みんながそれぞれの動きをしているし、それぞれ駆け引きしてる。
点を決めた後のハイタッチとか、フリースロー決めた後のちょっとしたボディタッチとか。
一個一個の動作がしっかり試合の映像前提に作られてるなあって思いました。
それを最初に感じたのが、開始直後の変顔サイン→アリウープ(パスから直接ダンクシュート)のシーン。
ほんの一瞬変顔をするというテンポであれを描いた時点で、
「あ、これは試合をアニメで作ったんだな」
と感じることが出来ました。
そしてもっと細かい話をすれば、例えば湘北の攻撃時。
みんなDFを外してボールを受けようと駆け引きをする中、ただ一人花道だけはぼっ立ちなんです。
素晴らしい描写ですよね、確かにマークの外し方とか教わってないですからね彼は。
他にも沢山あるんですが、そんな感じで試合を試合として書きたかったんじゃないかなあと。
あとからパンフレットを見たら
「花道はボールを受けるとき、必ずこの位置で手を構えさせてください」
って書いてあって感動しました。そう、あの構え方は確かに素人臭いんだよなあ、手の位置がやたら高い!
CGの動きがすんごい説得力
筆者は昔スポーツをやっていて、その参考にしようとバスケの守備を観察していた時期がありました。
だからこそ思ったんですが、ステップワークが本当に良く再現できてる。
あとゴリが河田に対してポジション取り勝ちしたときの描写とか、花道が二連続リバウンドするところとか。
とにかく動きに説得力があるし、ずっとリアルと同じ時間軸でキャラがみんな動くので説得力が半端じゃなかったですね。
逆の例としては旧アニメスラダンやキャプテン翼で言われてた
「どんだけドリブルするの!コート何キロあるの!」
みたいな描写ですね。
こういうアニメっぽい描写が少なかったのですごくバスケしてるなあって気持ちになりました。
ミッチーのシュートフォーム超綺麗!とかね、リョータの沈み込むドリブルのキレが凄い!とかね!
つまり原作の描写がちゃんとバスケだった
だからといって大きく展開を変える、なんてことは全くなく。
つまりは原作に描かれていた数々のプレーが、しっかりバスケの動きとテンポそのままだったということです。
だから映像化してもなんの違和感もなく観れると。ここからも井上先生の凄さが分かるってもんです。
エピソードはリョータ以外省略気味
逆に言うと、試合外のエピソードはかなりバッサリと省略されています。
原作は読んでるよね?みたいな進行もあったりはするので完全初見の人はちょっと大変かもね。
あと、そういうエピソードが好きな原作支持者的には物足りない映画になってるかもしれない。
しょうがない、これはスラムダンクの総集編ではなく、あくまで山王戦とそれにリンクしたリョータの物語なのだから。
作品の根幹は、「作者による新解釈」だ!!
今回もう一個言いたいのはこれ。
なんてったってこの新劇場版、
監督: 井上雄彦
なんですよ。
ということは、この劇場版において新たに明かされた設定は、「作者公認」ということになります。
宮城リョータの父と兄が死んだという設定も、ミッチーと出会っていたという過去も、全て井上先生の手を通して描かれているわけです。
なんかツイッターで「作り手からスラムダンクへの愛が感じられない」とか見ましたけど、監督作者だぜ?っていうね・・・
なので、この作品は「作者による新解釈にあふれた映画」となっています。そしてそれによって良い意味でも悪い意味でも死んだ人がたくさんいる、と。
幻の読み切り「ピアス」
実は、1998年に幻の読み切りと言われる「ピアス」という作品がジャンプにて掲載されていた。
そしてどうやらこれが劇場版の下地になったのでは、という話も聞いた。
読めないだろうなあ、と思っていたらなんと読めるという!
それがこれ。
ここになんと掲載してくれている。ありがたや・・・
この本、井上先生のロングインタビュー、制作に使われた大量の絵コンテやマスターイラストなどなど、映画が好きな人にはたまらない内容となっています。別記事でたぶん紹介します。
ここに描かれているのは、あくまでパラレルワールド的リョータですし、明言もされてません。
ですがここにあらゆる源流があったのだなとしみじみしちゃう、そんな読み切りでした。
リョータの沖縄出身は原作時点で設定されていた
そもそもリョータの出身地は沖縄と原作執筆時点で決まっていたそうで。
宮城という名字が多いのは沖縄らしい、全く知らなかった。
そこら辺も踏まえた上で、原作で描ききれなかった心残りがぶつけられた作品ということですね。
しかし父も長男も失うってあまりにも過酷すぎるぜ宮城家。
リョータがアメリカに行くとはね!!!
正直に言います、アメリカに行くなら流川だと思ってました。
でも先生がそういうならそうなんです!という話。
アメリカで沢北と対峙する、なんて構図が映画館で見れるなんてもうたまらんです。本当にたまらん。
その他書きたいポイントをガンガン書く
あとは突拍子も無く「ここ良かったよねえ!!!!」っていうポイントをひたすら取り上げていきます。
OPだけでも語れちゃう
山王が階段を降りて湘北メンバーと対峙するOP。
あれは、「絶対王者が戦いに来る」イメージだそうです。バッチリすぎだろ。
で、さっきも書いたけどあそこで初めて、
「どこを描いた映画なのか」
を我々は知るわけです。しかも、キャラに段々命が吹き込まれていく感動を同時に味わいながら。
その興奮そのまま、一気にティップオフから試合がはじまる。この一連の流れだけでも涙が出ちゃいますよ。
曲とバンドがあまりにも合いすぎている
さっき書いたように、オープニングの描かれ方と曲がたまらず鳥肌ビッチリ立ったわけですが、そこに限らず劇中BGMがマジでかっこいい。
これ10-FEETっぽいなあなんて思いながら見てたら案の定10-FEETが劇中の音楽も担当していたそうで納得。
そしてその10-FEETが歌うエンディング「第ゼロ感」が本当にかっこいい。
最近はずっとSpotifyで聴きまくってます。あのリフが流れてくるだけで元気になる。
山王戦最後の一連を本当に無音にするなんて
厳密に言えば無音では無いんですが、ほぼ無音。
その上で、あの明言「左手は添えるだけ」をあえて言わないというのがこれまた憎いというか何というか。
そのちょっと前のプレーで花道はこれを口に出してるんですよね。
だからこそ肝心要のラストシーンでは、花道が言わずとも観客全員が心の中で言ってしまうわけです。たまらん!!!
リョータとミッチーの喧嘩が凄い痛そう
喧嘩シーン、マジで良かった。本当に痛そうだった。
あとから嫁が「ミッチーの前歯は差し歯」と囁く度に笑う体になっちゃいました。
けれどもあの痛そうな喧嘩があるからこそ、頭を下げてバスケ部に帰ってくるミッチーの姿に重みがあったよねえと思ってます。
沢北の声がまさかの武内さん
沢北の声、まさかの配役でしたね。デレマスでP役を演じた武内駿輔さん。
あのしっぶい声で孤高の天才を演じられちゃあ一発で心が持ってかれるってもんです。
それに加えて今回の沢北は、より美男子であることが分かりやすいビジュアルもしていてボス感が半端なかったですね。
だからこそ挑み、破れ、パスを選ぶ流川の成長に展開を知ってても釘付けになる。
というか声優さん全部合ってるやんけ
声優変更が炎上だなんだ言われてましたが、一人も声合ってねえなあってキャラが居ませんでした。
全く違和感が無かったのと、井上先生がこだわってディレクションしたという
「演技しない声」
というのが本当に良かったです。アニメっぽく無いから、リアル志向の映像と凄くマッチしてました。
だから声優が原因で見に行ってない人はマジで見てくれ。
想い出ダイジェストのシーンが心震える
これはもう井上先生のサービスと言っても良いでしょう。
とあるシーンで流れる、花道の想い出達。この一連のカットが涙腺を壊しに来ます。
たぶん、入れなくても良かったはずなんです。エピソードをバッサリカットする決断してるからなおさら。
それでも数々の名シーンを詰め合わせてくれたサービス精神に、心から感謝したい。
続編は無い、と予想します
個人的予想ですが、多分次作は無いです。
年数がかかりすぎる
この映画の制作には何年も何年もかかっています。
とんでもない作業量だった、とインタビューで井上先生が語っていますし、構想が出来て作業に着手したのが2018年付近というデータからもそれは察せます。
これだけの高コストだからこそ出来た圧倒的なクオリティ、次回作を期待するのは酷な気がして。
タイトルは1作目という意味では無い
副題とも言える「THE FIRST」ですが、1作目という意味ではないと俺は解釈しています。
苦しみから一歩を踏み出す、とか、新しいスラムダンク、とか。
そういった作品に対する意味合いの方が強く、セカンドも作るぜ!という方向じゃ無いと。
もちろん公開されたら間違いなく観に行きますが、現実を考えると非常に厳しい。
この記事は映画を見返す度に追記の予感
これだけたくさん書きましたが、あくまで1回見ただけでの感想です。
たぶん繰り返し見れば見るだけ、書きたいことが増えていくと予想しております。
それがまた映画館なのか、いずれ発売されるであろうブルーレイなのかは分かりません。
一応追記はそれぞれ日付を加えて書こうと思っているので、定期的にこの記事を読み返しに来たら加筆修正がされている、かもね!!