映画「はい、泳げません」感想。ライトな気持ちで観て号泣。予想以上にヘビーな良作!

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映画
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観てきました。

「はい、泳げません」

久々に邦画を映画館で観た気がしています。

正直、予告編のなんとなーく薄い情報しか知らずに観に行ったので

「ほのぼの系なのかな?」

なんてライトな気持ちで観に行ったんですが、見終わった後は

「うわあ、なんて良いものを見たんだ、しかもヘビーだ・・・」

という気持ちになり、この映画が大コケしたというニュースを見て

「なんでやねん!めっちゃ良かったやんけ!!!!」

とぶち切れてました。感情が忙しい!

ということで、予想の100倍良かったのでその良さを語らせていただきます。

劇場で見れなかった人、なにかしらの手段を駆使して観て欲しい。

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概要

「はい、泳げません」

2022年6月10日公開

高橋秀実によるエッセイを映画化した作品。

水に対する恐怖症を抱えたノンフィクション作家が、ふとしたことから水泳教室に通うことになる、という内容。

ちょっと読んでみたいなあ。

で、この原作を元に映画にしたわけですが、たぶん原型はそんなに無いと思います。

「泳げない大学の先生が水泳教室に通う」というエッセンスを元に脚本を作ったということで、原作は抱腹絶倒エッセイとなっていますが映画は全然違う方向性でした。

主演は「シン・ゴジラ」でお馴染み長谷川博己と、国民的美少女綾瀬はるか。

この二人が共演するのは大河ドラマ以来だそうです。大河観ないから分からねえ!

監督は「舟を編む」で脚本を務めた渡辺謙作さん。

これは原作読んでて大好きなんだけど映画は見れてないです、観たい映画が多すぎる。

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ざっと感想!号泣したし鼻水垂れた!

これがねーー、滅茶苦茶良かったです。

僕は短い予告しか観ない状態で、他の情報を全て遮断して観に行ったんですよ。

もちろん泣いてるシーンはあるんだけど、そんな身構えをせずに観に行ったんですよね。

そしたらどんどん不穏な空気が流れてくるのに引き込まれちゃって、最終的に鼻水ドバドバ号泣おじさんになりました。

これはコメディの皮を被っていますが、人が自分を変える過程を丁寧に描いたヒューマンドラマです。

さて、ここから先はネタバレ全開になるので、まだ観てない人はまず観てきましょう。

では、ネタバレ含めて感想です。

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以下、ネタバレ有り感想

観てきましたね?じゃあ行きますよ。

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簡単なあらすじ

えーと、この映画の話をするにあたって、あらすじを抑えておかねばということで。

主人公、小鳥遊は大学で教鞭を取る哲学科の先生。離婚歴持ち。

幼少期からから水にトラウマを抱えており、全く泳げない。が、ひょんなことから(あとでこの点、詳しく話します)水泳教室に通うことになる。

その教室で出会ったのが、陸より水の中の方が輝く女性コーチ。名を薄原。

頭でっかちに反論ばかり繰り返す小鳥遊だが、彼女の指導により徐々に水に対する恐怖心を克服していく。

だが彼には、幼少期のトラウマとは別に、水にまつわる辛く悲しい過去があった。

その過去は現在の彼の人生そのもの、思考にも大きな影響を与えており、どうしても克服しなくてはと自分を責め続ける状態から抜け出せなくなっている。

想いを寄せる女性へのアプローチもままならない、それも自分を責め続けているから。

そんな小鳥遊は、自分を変えることが出来るのか、そしてその辛い過去とは・・・

というのが、本筋を隠したあらすじとなります。

で、そのトラウマというのがこの物語を大きく動かすというか、知ってて観るのと知らずに観る中で判明するのでは映画自体の印象が大きく変わってきます。

そのトラウマというのが、

「息子、じゅんやが溺死していた」

というもの。これ、作中ある程度のところまで進まないと判明しないんですよ。だから徐々に不穏というか暗い空気が時々流れるけどなんだこれは・・・という感覚を持ちながら観て、一気に突き落とされる。

この落差が、個人的にこの映画にのめり込んだ理由の一つです。

で、まずあらすじから語るにあたって大事なキーワード2つ。

「ひょんなこと」と「トラウマ」です。まずはこの二つについて語りたい。

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あらすじキーワードから語る①ひょんなこと

どのサイトを見てもあらすじには「ふとしたきっかけ」とか「ひょんなことから」と記載されているんですよ。

で、確かに映画を観ている段階では、そんな感じに見える。

でも、絶対的に違うんです。そんなきっかけなんてない。

実際には、

「小鳥遊が小さな一歩を踏み出す瞬間」

というのが、体験希望を出した瞬間なんですよね。

そこに、やる気満々で多少強引とも言える薄原コーチがいたことで彼は躊躇を置き去りにしたまま挑戦する事になります。

もちろんその後の小鳥遊は諦めかけたり頭でっかちに反論したりと苦労をたくさんします。

ですが、水泳教室に足を運んだのも、薄原コーチと出会ったのも、全て自らの意志がきっかけで勝ち取ったことなんです。

小鳥遊は幼少期のトラウマ、そして息子の溺死という二つの事象をずっと胸に抱えています。

特に溺死に関しては、前後の記憶が全くないという状況。それが観客に伝わるのは映画がボチボチ進んでからなんですよね。

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あらすじキーワードから語る②トラウマ

で、後半からはこのトラウマとの戦いという面が出てきます。

ここで整理しておきたいのは、二つのトラウマはそれぞれ別方向に働いているという点です。

幼少期のトラウマは、水が怖い、泳げないという点に。

息子の溺死は、好きな人に対してや元妻との関係を含めて人生の前進を阻害しているという点に。

別々なんですよね、これって。

別々のモノなんだけど、水泳を通してどちらとも闘っていくという話になってくるわけです。

で、この映画にはもう一人トラウマを抱えている人がいます。そうです、薄原コーチです。

ネットで観た意見の中で

「薄原コーチのトラウマは解決せんのかい!」

という話をしている人が居ましたが、俺はそこに意味はそんなに無いと思っています。

大切なのは、

・薄原コーチがトラウマを抱えながら日々闘っていることを小鳥遊は目の当たりにする

・陸では生きにくい薄原コーチだからこそ、水の中は違う世界という言葉に説得力が出る

という点だと俺は思っていて。

薄原コーチは「逃げるな!」と小鳥遊に言います。

何も言い返せない、あれだけ苦しい思いをしながら生きてる薄原コーチを見たから。

薄原コーチがあれだけのことを言えるのも、それまでに水と闘ってきた小鳥遊の姿を見ているからです。

そこにはもうそれだけの信頼関係があった、と俺は感じました。

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ナイスなおばちゃん達

その横にずっといたのが、ナイスなおばちゃん衆です。

彼女らはたくましい、おそらく小鳥遊はなんでこんなに考えないで動けるのだろうと疑問に思っていたはずです。

その対比として、コーチに反論する小鳥遊とつべこべ言わない!と背中を無理に押すおばちゃんという構図があります。

その点に小鳥遊が興味を持つから、ファミレスで相談するんですよね。あそこで昼間っから大ジョッキでビール決めてるおばちゃん、かっけえよ。

小鳥遊が哲学科ということもあって、概念や理屈で考えがちなところに対しておばちゃん衆と薄原コーチは日常のリアリティから泳ぎにアプローチしています。この差も面白いところです。

ここに「人生とは現実の中でも藻掻くモノなのだ」というメッセージを見出すのか、単純にキャラ的な設定と描写と考えるか、それは見る人次第な気がします。

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笑いどころのはずが俺は号泣したシーン

今回一番語りたいのがこのシーン。

終盤、小鳥遊がプロポーズをするシーンです。

たぶん、笑いどころなんですよね。実際他の観客は笑ってたし。

でも俺はこのシーンで、一番号泣しました。

自分を責め、動けない小鳥遊

そもそも小鳥遊が前に進めない理由は、トラウマというよりもそれによって自分を責め続けていることでした。

自分を責めるってことに関しては、俺は凄く身に覚えがある人生で。

自分を責めると、そこで行動が終わっちゃうんですよ、次に繋がらない。悲観的になるから余計にアクションなんて起こせないし、誰かが許してくれる、情けをかけてくれるんじゃないかって無意識に思っちゃう。

それを見抜いてなお戦える強さがあるって信頼しているからこそ、薄原コーチは小鳥遊を叱咤激励したと。

で、それで思い出すことには成功した。

けど新しく家族を迎える、背負う覚悟が出来てない小鳥遊はプロポーズが出来ない。

それに気付いた薄原コーチは自分のトラウマと戦いながら、普段の職場より遠くにある小鳥遊の新居まで行き、再び叱咤激励。

ここまでの流れがあって、初めて小鳥遊はアクションを起こします。

小鳥遊の見せた、不格好で向こう見ずな闘い

そこからは本来笑いどころになる、不格好で突然のプロポーズ、そしてシャワーをぶっかけられると。

何故俺が号泣したか。

それまでの小鳥遊は、理屈が先行、無計画なことは自分からはしないという人間でした。

無茶目に前進するときはいつだって半強制みたいな状態。

それがこのプロポーズに関しては、あまりにもかけ離れてるんです。

もちろん決意を持って店に行ったとは思うんです。

だけどそこから先は理屈も計画も何も無い、作中一番不格好で向こう見ず。

そして、一番かっこよく俺には見えたんです。

この瞬間に、小鳥遊という男は一歩進んだだけではなく、自ら進む強さを手に入れたんだなと。

それが瞬間的に頭によぎって、もう鼻水ズビズビの号泣です。

そこに至るまでの一つ一つ丁寧な描写が、俺の中でこのシーンを通じてカタルシスになった、そんな映画でした。

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他にも良いところが沢山ある

他にもねー、言い出したらキリが無いぐらい良い映画でした。

・じゅんやくんの溺死にまつわるあれこれ、映像的に見入っちゃう。
記憶が途切れる描写もいいし、モノクロの中で服だけ色が出てるのも強烈。

・音がシーン毎に重要な役割を果たすし、だからこそ音や音楽が消える演出がガツンと来る。

・なんといっても強い薄原コーチを演じる綾瀬はるかが抜群。天真爛漫さがここまで綺麗に役に噛み合うとはという感じ。

・一方で長谷川博己の演技も凄まじかった。特に鬱気味になるところの無気力感はちょっと生々しすぎるぐらい。

ということで、マジで大コケとか言われる意味が分からん、超良作でした。

見てない人は急いで観てくれよな!!!!

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