本日、PUBGの日本におけるプロリーグ戦「PJS」が開幕した。
今年でSeason 4を迎えるPJS。
Youtube Liveでの閲覧者数も増え、着実に成長してきている。
日本のesports界に欠かせない存在となったPJSが、あるトラブルに対して個人的に称賛したい組織としての在り方を見せた。
今回は元アスリートである筆者の経歴を元に、その対応をご紹介したい。
起きたトラブルとは
まずはこちらをご覧いただきたい。
PJSseason5 PaRにおけるペナルティ報告https://t.co/HJcaNMoToY#PJSseason5#PUBG_DMM
— 【公式】PUBG_DMM (@PUBG_DMM) February 20, 2020
このページには追記されているが、もともと記載されていたのは
・規定されている競技後の運営への報告を怠った
・複数回、個人チームそれぞれに勧告を出したのにも関わらず実行しなかった
・規定に従い、ペナルティポイントを与える
という内容のもの。
選手側に起こった不備に対して、事前に決まっていたペナルティを課したという内容だ。
これ自体は決して珍しい話ではなく、年々数が減っているとはいえ起こり得ることである。
それに対し、該当した選手たちの反応がこちら。
え?もしかしてピキっちゃった?^^ https://t.co/owIo9OIOBV
— ばん (@n_ndroxr) February 26, 2020
https://twitter.com/Shou_iwnl/status/1230478708772761606
お世辞にも反省しているとは思えない文面だ。
これに対し、筆者は途轍もない怒りを覚えた。
なぜ私は怒ったのか
このPJSという大会、私は観戦を始めてからまだ2シーズン目である。発足当初から見ている方々とは大きく歴に差がある。
そんな観戦歴の浅い筆者がなぜ腹立たしいと感じたのか。
それには、筆者の少々特異な経歴が関係している
実は元アマチュアアスリート
筆者は、あるスポーツでプロを目指していた。
学生時代のみならず、社会人になってもなおプロを目指すチームで活動をしていた。
アマチュアではあるが、スポンサーを獲得し、数百人のファンが毎試合観戦に来るようなチームである。
そこで筆者は、応援されること、支援してもらえることの有難さを知ることとなった。
大会には多くの支援がある
言うまでもなく、PJSにはスポンサーが多数参加している。
今シーズンはケンタッキーが参加し、更に盛り上がりを見せようという動きだ。
大会として企画、運営していく以上そこにはコストが発生している。
支援してもらえるのは金銭や広報的なメリットのみならず、
「理念への共感」
というものが欠かせない。もっと簡単に言えば、応援したくなるかどうかだ。
昨シーズンでは特にガスト、サッポロビールと大企業が2社も参画した上、最大限のリスペクトを持って活動した結果、
還元ムーブ
というまさにwin-winな状態を作り出すことに成功した。
#PJSseason5#PUBG_DMM#PUBG#KFC
昨日、還元ムーブキメてきました。
未成年だからなかなかPJSに直接お金を使えない分、せめてこれぐらいはね。
ケンタッキーさん2シーズン連続スポンサーありがとう pic.twitter.com/aeKPnxVB9M— tari3210.py (@tari_3210_) February 25, 2020
分かりやすく言えば、ファンがスポンサーとPJSに対して
「素敵な大会をありがとう」
という感謝とともに、スポンサー商品の購入を報告するツイートが格段に増えたのだ。
まさしく運営、スポンサー、ファンが一つになった瞬間である。
そして一つになった理由は、選手たちの真摯な姿勢に他ならない。
真摯な姿勢は感動を生む
スポーツのみならず将棋でも音楽でも、人が真摯に真剣に戦う姿は感動を生み、声援が付く。
運営側の努力、それに応えるべく選手たちが活動。
そしてスポンサーの支援。
関わっているあらゆる人間が本気だからこそ、前例のなかったゲームのリーグ戦が大きく成長することが出来たのである。
これは全方位への冒涜行為だ
先ほど挙げたツイートにある、選手の違反に対する姿勢。
これは冒涜に他ならない。
ここに記載されているPaRというのは、Grade1.Grade2の下にある、最下層リーグだ。
言い方を変えれば、プロリーグで戦うための登竜門となる。
人生を変えるべく戦うために集まった選手たち。
そこには選手の質や規模の差はあれど、変わらぬ情熱と真摯さがある。
はず、だったのだ。
それをたった数ツイートでぶち壊す行為。
それがこのツイートである。
一緒に戦った他チームの選手。
関わった運営。
支援してくれたスポンサー。
全方位への冒涜、侮辱である。
決して許されることではない。
だからこそ、人を集め資金を集め、運営していく苦労を多少なりとも感じたことのある筆者にとって、この反応は激怒に値する行為だったのだ。
その後のPJSの対応
当初、PJSは規定通りのペナルティのみを告知していた。
私は懸念していた。
ペナルティを受けさえすれば許される。
それではミスと故意の冒涜、その差が付かないのではないか。
差が付かないのであれば、モラルの崩壊の引き金になりかねない。
なにより、意図して冒涜した選手にまで優しさをかける必要はあるのだろうか。
その1週間後、PJSは追記をページに加えた。
以下は、その引用である。
====以下2020年2月26日追記====
過去に同様の警告を受けていながら大会運営チームによる5回のリマインド(メンションも含む)が行われたにも関わらず、チーム単位で報告義務を果たさなかった事に関して、大会運営チームとしては誰しも一度や二度の失敗はあるものですから、警告レベルのペナルティが付与された場合でも次回参加時に気をつけていただければ問題はない。という考えでした。
しかしながら、警告を受けている事に対して反省しているようにも見受けられず、今後も同様の事を繰り返すようであれば大会運営業務に支障をきたすと判断し、誠に残念ではございますが、SNH_Bungeevam (@n_ndroxr)とSNH_Twist (@Shou_iwnl)の2名をペナルティポイント5: PUBG JAPAN SERIESへの参加禁止といたします。
■ペナルティポイント5:PUBG JAPAN SERIESへの参加禁止。
SNH_Bungeevam
SNH_Twist違反内容について
上記2名はPJSseason5において、警告処分をおこなったにも関わらず、その警告を無視し不健全な行為をSNS上で展開していたため 大会ルールの「その他:その他運営チームの判断による不健全または不公正な行為」としてペナルティポイント5とします。
■最後に
PaRではこれまでにも「元々G2に出るつもりはなかった」や「故意にペナルティを受けた」などのSNS投稿を行い、多くの選手の皆さまに守っていただいている簡単なルールを故意的に違反しているプレイヤーを何人か見受けております。
PJSには多くの企業様がご協賛だけではなく、様々な形で関わっていただいております。 企業の担当者様の中には「元々ゲームが好きだから」「PUBGのファンだから」といった理由からPJSを応援したいということで、社内での調整が難しいFPSというジャンルにも関わらず、慎重に協議を重ねていただき会社から許可を頂いている方も大勢いらっしゃいます。 eスポーツという言葉自体はTVや新聞等のメディアで見る機会も多くはなりましたが、社会的にはまだまだ市民権を得ている。という状況ではございません。 そういった中で、eスポーツの大会に会社として関わる事を決定していただくというのは、本当に長い時間と多大なる労力が必要になるものです。 「ネットの世界だし、ただのゲーム大会だから適当でもいい」と思っているのであれば大きな間違いです。
PJSは、多くの出場チームと選手の皆様にルールを守っていただいているおかげで、今まで大きな問題もなく続けさせていただいておりました。 しかし、こういったルール違反が繰り返して行われることが続きますと、 ルールを守っていただいている出場チームや選手の皆様をはじめ、賛同してくださる企業様やファンの皆様にもご迷惑をお掛けすることになり、 PJSの開催を継続することが困難になってしまうことも考えられるため、誠に遺憾ながら訴訟等の法的手続きを講じる事も検討せざるを得なくなります。 大会運営チームとしてもそのような事態はできる限り避けたいと考えておりますので、ルールはしっかりと守ってください。
—PJS公式ページより引用
非常に毅然とした対応である。
追加された出場禁止というペナルティ、そしてその理由、というよりもPJSの理念と照らし合わせ、スポンサー各社への感謝と配慮を込めたメッセージ。
これは正に、「PJSを守るためのもの」だった。
PJSが続いていくために
PJSは、自身が沢山の関係者に救われていること、支えてもらっていることを知っている。
それは過去のコラボや運営への姿勢を観れば伝わってくる。
大事に大事に、自信と尊敬を持って続けてきたのだ。
それを、わずか数ツイートで壊されてしまう。
その心無き妨害、暴力に対し一切慈悲を見せなかった。
ここで慈悲を見せることは、関係者へのリスペクトを捨てることと同義になってしまうからだ。
本気の選手たち、支えるスポンサー、視聴者、ファン。
関係する人間への経緯を持っているからこそ、PJSは断固たる姿勢を見せた。
そしてその姿勢は、筆者にとって嬉しいものだった。
筆者のみならず、応援するファンならばそう受け取る人は少なくないのだろう。
本気になれず、人の妨害しかできない浅ましいプレイヤーの排除は、競技の純度を高める。
間違ってはいけないのは実力による淘汰ではない。
そこに本気で戦う意思があるか否か、だ。
PJSは組織として戦う姿勢を見せることで、戦う選手たちを守り抜いた。
みんなPJSを観ようぜ
このPJSの対応が素晴らしかったので、少しでも多くの方に知ってもらいたく記事へと起こした。
バトルロワイアル系のプロリーグという、今まで全くなじみのないジャンルであることは間違いない。
が、ルールはそこまで難しくなく、更に実況解説、分析や中継、あらゆるところに工夫を加えることで、未プレイの方にも見やすい構成となっている。
Youtubeで見れるため、出来ればリアルタイムで、不可能ならばアーカイブでも。
PJSが守った本気のリーグをぜひ見ていただきたい。
そこでは、競技と呼ぶにふさわしい素敵な戦いが繰り広げられている。
※この記事内のいくつかのコンテンツは、©DMM GAMES. | ©PUBG Corporationより引用させていただきました。
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