【ゲームレビュー】壺おじの中毒性は、パチンコでありスポーツだ【Getting Over It】

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人の心を壊すゲーム、というのはいつだって人気があるように思う。

それはシナリオ的に全く救いがないとか、とにかく高難易度だとか、様々な形で存在してきた。

 

その中でも「Jump King」は群を抜いて人の心を壊す、ということが知られている。

有名ストリーマーたちを招いて行われるTwitch Rivalsでこのゲームの怖さを知った人も多かったのではないだろうか。

関優太が発狂しながらも大会終了後諦めずにクリアに挑んだ姿は大きな話題となった。

 

 

そんな問題作、Jump Kingとよく二大巨頭として並べられるゲームがある。

それこそが、今回レビューする「Getteing Over It」なのである。

 

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概要

 

Getting Over It with Bennett Foddy

プラットフォーム PC、スマホアプリ

ジャンル マゾゲー、高難易度アクション?

価格 820円

 

 

時々セールで300円台で買えるから、ウィッシュリストに入れておこう。

 

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おおまかなゲーム性

 

これが主人公の姿。

ハンマーを持ち、壺に下半身がハマった筋骨隆々の男。

地面、突起、段差、あらゆるものにハンマーを引っかけて、登る。

体を投げるようにして高いところへ登ったり、地面に突き刺して自分を押し出すことでジャンプしたり。

ただ、それだけ。

 

 

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絶妙な難易度

 

この操作だけなのに、全く上手くいかない。

真上に飛ぶだけでも一苦労。飛びながら次の突起を捕まえたり、程よい距離で飛ぶためにゆっくりハンマーを動かしたり。

マウスを動かしたスピードそのまま操作できるわけでは無く、癖のある動き方をするため非常に歯がゆい。

この歯がゆさと戦いながら、ひたすら上を目指すのだが・・・

 

 

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一瞬で全てが崩れ去る恐怖

 

このゲームの大きな特徴は、オートセーブでありながらそれが意味をなさないこと。

「登りゲー」とも言われるこの手のゲームは、落ちることがある。

落ちると言ってもその場の障壁から落ちるのでは無い。遙か手前まで一気に落下するのだ。

つまり、いくらオートセーブをしていても一瞬で数時間の進捗が無に帰す。

 

 

これはその日一日のプレイが全て無駄になった瞬間だ。

 

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落ちたらまた苦労したところを登る

 

で、さっきも言ったようにそもそも登るのに超苦労するゲーム。

なのに、ある程度登ったところから一気に落ちてしまうということは、その難解なアクションに再び挑まなければならないのだ。

これがもう、心が壊れるぐらいキツイ。

実際、Steamのレビューを見てみると

・800円で他人の精神を破壊できる素敵なゲームです。

・悪意を煮詰めたようなステージ構成に絶妙な操作性の悪さ。

・死ぬほど辛かった。

という到底褒めているとは思えない文面が並ぶ。

 

登るのにひたすらイライラしながら苦労、頑張って登っても運が悪ければ全て水の泡。

そんな痛み、苦しみになぜ耐えながら人はこのゲームに挑み、高く評価するのか。

 

そこには、パチンコにも似た射幸心とスポーツと近い成功体験というものが隠されているのだと筆者は感じている。

 

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脳を溶かす射幸心

 

このブログではテーマの一つとして、パチンコスロットを扱っている。

つまり筆者はそれなりに遊んできた。

だからこそ身に覚えがあるのだが、このゲームでは間違いなく射幸心を感じる。

 

操作性が良くない中で、登るのが絶妙に難しい地形や障害物。

成功する確率が低い挑戦を、何度も何度もしなければならないわけだ。

だからこそ、苦労した障壁を越えた瞬間は脳が溶ける。

それはただ単なる達成感だけではない。間違いなく射幸心を煽る何かが混ざっている。

 

操作性が良くないからこそ、思い通りに行かないからこそ、成功したときは100%自分の手柄とは思えない。

ある種運否天賦のような、確率のようなシーンがたくさんある。そこを突破したときの気持ちよさは、自らの力だけで切り開く達成感とまた違う射幸心が感じられる。

そして人は、射幸心に焼かれてしまう物なのだ。

 

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絶妙な難易度設定による成功体験と上達

 

何度も書いているように、このゲームの操作性は決して良くない。

だからこそ上達するまでは、射幸心を煽られながら進んでいくことになる。

 

だが、大きく落下する喪失を繰り返し、同じ難所に何度も何度も挑むうちに、着実に自分が成長していることに気付くはずだ。

このゲーム、見方を変えるととあることに気付く。

 

それは、鬼のようなストイックなゲームであること。

 

なにしろ敵は居ない、地形は動かない。

ということは、ただ自分の操作能力だけが問われる。

確率が低いのも、上手くコントロールできないのも、最初の方まで落っこちるのも。

全ては自分の技術が未熟なせいだ。

 

それに気付いた瞬間に、「壺おじ」はストイックな修行へとその様を変える。

少しずつ操作技術が上がる度に、スムーズに登れるようになり。

動かし方のパターンが増えれば、今まで不可能だと思っていた地形の登り方が思い付くようになり。

どんどんスムーズに、思うようにキャラを動かせるようになっていく。

 

詰まるところ、このゲームは自分の未熟さと向き合い続けるゲームだ。

逃げ道は「諦めること」しかない。

そして登頂した人は、自分の成長が楽しくなり、何度も何度も登頂してしまう。

 

だから、購入者のうちわずか6%しか登頂者がいないにも関わらず、50回登頂という偉業を成し遂げる人が少なくないのだろう。

 

そもそも人間とは、努力が報われることが好きな場合が多い。

しかし努力がそのままわかりやすく報われることは、特に社会人になってからどんどん減っていく。

自分が成長しても競争相手がそれ以上の成長を見せたり、理不尽に巻き込まれたり、評価される場が無かったり・・・

 

その点、ゲームというのは努力に対して非常に速いレスポンスで評価を返してくれる。

それがマリオブラザーズから始まるアクションゲームの系譜であり、根源なのだ。

任天堂はそれを、

「キャラを動かすだけで面白い→知らぬ間に難しい操作ができるようになる」

というレベルデザインで表現した。任天堂はレベルデザインこそが最高の武器だと筆者は思っているほどだ。

 

このGetting Over Itも原則としては近い。

ただし、遙かに苦痛も苦難も多い。超ハードな、しかし絶妙に練られたレベルデザインとなっている。

そこに努力を一時的に無にする大落下が加わることで、苦みたっぷりの成功体験が味わえるわけだ。

 

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努力の本当の価値

 

さてこのゲーム、散々ここまで書いたように

「落下→努力が無になる」

という一連が大きな要素になっている。

 

そしてこのゲーム、大きな落下をしたときに限って音楽が流れたり歴史上の偉人が残した名言を教えられたりする。

筆者は最初、とても腹が立った。

 

何を煽っとんねんクソが!!!

 

という気持ちだ。

しかし、筆者は気付いてしまった。

 

確かに落下したら、登った進捗は失われる。

だがそこに辿り着くまでの苦労、自身の成長は失われない。

事実、大落下をしても元の高さまで復帰するスピードは回数を重ねる毎に増していく。

その理由はただ一つ。技術が成長したからだ。

落下しても何も失われない。

成長した自分の力ですぐに登ればいい。

 

そう考えはじめた瞬間から、偉人の名言はただ背中を押してくれるブーストになった。

 

このゲームは、挑むこと、敗れること、その先に残るものを教えてくれる。

 

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オススメはしない

 

ここまで書いておいて何だが、オススメは決してしない。

特に負けず嫌いの人、安易な気持ちで触らない方がいい。

筆者は死ぬほど負けず嫌いだが、そのせいでこのゲームから逃げられなくなった。

選択肢は二つ、苦痛を味わいながら勝つまで、登頂まで続けるか、負けを認めて辞めるか。

負けず嫌いで有ればあるほど、簡単に辞めることはできない。

もうやるしかないのだ、努力と折れない気持ちで登頂するまで戦うしか無いのだ。

 

そんな自分と対話する機会が欲しい人は、是非一度購入して遊んで欲しい。

 

最後にもう一つだけ、いいことを。

このゲームが安く、金銭的には非常に手が出しやすい点だ。

気軽に地獄を味わってみるのも、また一興だろう。

 

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