Overwatchのコーチングや講座でよく聞く「射線を増やしましょう」「エリアを取りましょう」という話。
確かにこれは基礎としてすごく大事な考え方ではあります。ですが、それより先に知っておくべき事があると最近痛感しました。
それが「ヘイト管理」という言葉です。
実際私も「ヘイト管理ってなんやねん!」と思っていたのですが、これを理解し始めてからOWが面白くなったし上達したので、それをなるべく分かりやすく解説出来れば良いなと思っております。
これを理解していないと、射線を増やそうがエリアを取ろうがその優位を活かすことが難しくなってしまうばかりか
「なんでエリア取ってるのに誰も助けてくれないんだ!頑張ってるのにデスしたぞ!」
という事態になってしまいます。というか俺がなりました。
なので、まずはここから!
「ヘイト管理」という言葉が難しい
まずもってこの「ヘイト管理」という言葉が難しいというかわかりにくいと思うんですよね。ヘイトってなんやねんというか、管理ってどういう意味なんだというか。
なので一旦この言葉の意味は忘れてください。で、「ヘイト」という言葉だけ覚えましょう。
ヘイト→「対戦相手や敵からの敵対心の度合い」
はい、簡単に言えば「敵から注意されているかどうか」という感じになります。語源はHate、嫌いという意味の英単語ですね。
おそらく元々はMMORPGなんかで、「誰が敵モンスターに狙われるか、攻撃されるか」がヘイトという数字に寄って決まる仕組みがあったのでそこから来た単語だと思います。
FPSにおけるヘイトとは
で、これをFPSに置き換えると
「誰が誰を警戒しているか、狙っているか」
ということになります。といっても言葉じゃ上手く伝わらないので例を。
ここに、ハルトの盾裏に固まっているチームがあるとします。
そこに相手タンクのウィンストンがジャンプしてきました。
そうすると慌ててハルト以外のみんなゴリラを見てしまいました。
「早くバリア割らなきゃ!」「さっさとHP削れ!」
この瞬間、「ウィンストンは4人のヘイトを買っている」と言えます。4人の視線がウィンストンに集まっているわけです。これが、ヘイトの基本的な考え方です。
裏をちょろちょろしながら攻撃してくるトレーサーをサポ+ダメージの二人で探しに行っちゃう、これもヘイトを買っている状態です。
ヘイトがプレイにどう影響するのか
ではこのヘイトがどうプレイに影響するのかを見ていきましょう。
①タイミングを合わせろ、の意味に繋がる
特にトレーサーやソンブラなんかでよく「タンクとタイミングを合わせよう」という指導やコツを見ると思います。これはもちろん同じタイミングでバックラインに飛び込めば、抵抗する間もなく短い時間でキル出来る、というのがあるんですがもう一つ、ヘイトに絡んだ解釈が出来ます。
それは「タンクを見ているから横や後ろを見る事が出来なくなる」というもの。
例えばさっきの構成相手に、トレーサーがいきなり一人で後ろから絡んでみましょう。
ところがこのチームは、他に警戒するものもないので簡単にトレーサーを捌けてしまいます。
ですが、この動きをウィンストンのダイブ後に行ってみましょう。
そうすると、ウィンストンを見ているからトレーサーに対抗することが非常に難しくなります。意識はトレーサーに向いたとしても、位置取りが「対ウィンストン」の位置取りになっているため、物理的に対応が難しいわけです。
これは「ウィンストンがヘイトを集めた瞬間に、警戒されていないトレーサーが動けた」ということになります。
これはダイブに限った話じゃあ有りません。ポークでも同じです。
横を取ったり高所を取るのは大事ですが、チームの交戦が始まっていないときに側面から撃っても何もキャリー出来ない。
ところが、これが交戦がっぷりやってる最中だとどうでしょうか。
ということが起こるわけです。これ、実際のマップに置き換えると尚更分かりやすいんですよね。
②強いポジションの活かし方が分かる
ということで、実際のマップスクリーンショットから実例を出していきましょう。
今回使用するマップは「ドラド」です。
ここと左側の青い丸、防衛はまずここから撃ちますよね。
けれども攻撃側からしたら進行方向にいるので比較的見やすいし対処もしやすい。
ところが、ペイロードが進んでもこのポジションを守ったらどうなるか。
青い○の防衛側と赤い○の攻撃側が衝突するときに、背後からフリーで撃つことが出来ます。
これも、正面の集団戦にヘイトが向いているから、自分がフリーで撃てるということですね。特にダメージロールをプレイするときは、この感覚が大事になります。
今度は逆に攻撃側で考えてみましょう。
先程のトンネルを攻撃側が取ったとしても、その後の攻撃方向を考えるとこんな感じです。ぶっちゃけあんまり強くないですよね、こう見ると。距離は遠いしちょっと高台だけどいかんせん射線の方向がごりごり集団戦と被っちゃうわけです。
防衛側から見るとこんな感じ。
では横を取ってみたらどうでしょう。
さっきの画像の立ち位置から左へ膨らむと、この位置を取ることが出来ます。
この立ち位置であれば、集団戦と違う方向から撃つことが出来ますよね。ヘイトを買ってないうちはフリーで撃ち放題になるわけです。たった10m前後でも横に膨らむだけで、これだけフリーで撃てそうな場所を取ることが出来ます。
強いポジションというのは「フリーでやりたいことがしやすい」という場所ですが、それはあくまでもヘイトや集団戦のタイミングをちゃんと考えないと意味がありません。集団戦が始まったところで、フリーになれるところから行動がスタート出来れば試合を動かすことが出来る、というのが伝わったかと思います。
③自分が何をするべきか考えやすくなる
このヘイトという考え方を持つと、ロールやヒーローによって何をするべきか考えやすくなるんじゃないかな?と思います。
例えば、一番悪い例として「アナに絡んでは逃げるトレーサーをラインハルトが追い回す」というもの。
これ、案外見かける光景なんですよね。プラチナ以上になるとさすがに見かけなくなりますが、いやでもプラチナ中位まではたまーーーに見るかも・・・
これ何が良くないかをちゃんと理屈で説明すると
「タンクという集団戦の要がフランカーを追いかける、しかも機動力で勝てないため意味が無い」
ということになってしまいます。逆に言えばトレーサーからしたら
「裏からヘイトを買って集団戦を有利にしようとしたらタンクが来て超有利になっちゃった」
という最高の展開になるわけです。
これもヘイトと集団戦の関係が分かってくれば
「基本的には無視して集団戦をしよう、5vs4になるから押し切れば勝てる」
とか
「ブリギッテにしてアナを守りながら前線にヒールパック配ればトレーサーを見るのは私だけで大丈夫そうだな」
などなど対応策が段々思い付いてくるはず何ですよね。
こういうことを考えられるようになると、ただ相手を撃つ・味方をヒールするゲームから一気にチームとしてどう戦ってどう勝つかを考えるゲームへと変化していきます。そしてそれこそがOverwatchの本当の楽しさだと思うのです。
考え方のベースを学ぶと、OWはもっと楽しくなる
今回解説したのは、立ち回りや考え方の基礎となる「ヘイト管理」について。
Overwatchというのはケースバイケースの状況が多く、一個一個対応法を学ぶようなゲームではありません。
だからこそ、このような「考え方のベース・基準」というのがとても大事になってきます。
そして身に付けば身に付くだけゲームは面白くなるし、上手くなっていくはずです。その土台として、このヘイトという考え方は是非マスターして欲しいなと思います。
高台でどう立ち回るか、フランカーはいつ仕掛けるのか、ダイブタンクはどこに飛べば良いのかなどなど、色んなプレーがこの考え方で説明、理解出来るようになるはずです。あとは実践しながらひたすら試行錯誤をしていけば、どんどん楽しく強くなれる、はず!
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